【特別短編:福徳神社編】『芽吹の奇跡、富袋と江戸バスで紡ぐ日本橋七福神の福』
[1. ビルの谷間の洗練された境内と、徳川秀忠公の「芽吹」伝説]
八月後半の爽やかな朝。日本橋・コレド室町のモダンな街並みを抜け、洗練された緑に包まれた『福徳神社』の境内へ。
「はぁ……っ! 佐久間君、見てちょうだい! 高層ビルの谷間にこんなにも清らかな神社様が佇んでいるなんて……! 散策を楽しむ人たちが吸い寄せられるように参拝しているわね!」
薄黄色の夏着物を纏ったヤヨイが丸眼鏡を直し、目を輝かせる。 木々模様のジャケット姿の佐久間がヤヨイのカメラバッグを肩へ背負い直し、力強く左腕を差し出した。
「慶長十九年、徳川二代将軍・秀忠公が参拝された際、クヌギの鳥居から若芽が萌え出でているのを見て『芽吹神社(めぶきじんじゃ)』の別名を贈られました。『芽が出る=才能や運気が芽吹く』という強い強運を秘めた聖地ですよ」
[2. 鑑賞三宝の祈りと、手渡された『富袋』の誓い]
二人は拝殿前へ。木製の『鑑賞三宝』の上に宝くじを載せ、幸運の鈴を振って金運招福を祈願する。参拝後、佐久間は大切に手配していた黄金色の『富袋(とみぶくろ)』を取り出した。
「江戸幕府公認の『富くじ』発祥の地であるこの神社の、入手困難な幻の授与品『富袋』です」
佐久間は富袋をヤヨイの手の上にそっと乗せると、自身の大きな手でガチッと力強く包み込んだ。
「ヤヨイさん。秀忠公が若芽の芽吹く力を見抜いたように、僕もあなたの素晴らしい才能を確信しています。この富袋と芽吹神社の加護のもと、あなたの紡ぐ言葉がこれからも大きく芽吹くように……僕が最高のプロデューサーとして一生支え続けます。僕の人生の主役は、一生ヤヨイさん、あなただけです」
「……っ、もう! ビルの谷間の境内で、そんな真っ直ぐな瞳で見つめながら才能を信じてくれるなんて……っ。胸が熱くなって、丸眼鏡が嬉しさで曇っちゃうじゃない。……あなたという最高のプロデューサーがいてくれるなら、私、どんな新しい挑戦の芽だって大きく咲かせてみせるわ!」
[3. 100円の『江戸バス』で巡る、日本橋七福神巡礼の旅]
参拝後、二人は福徳の森の目の前にあるバス停へ。中央区のコミュニティバス『江戸バス(北循環・100円)』に乗り込み、サイドストーリーである「日本橋七福神めぐり」へと出発する。
「たった100円の江戸バスで、強運厄除の『小網神社』や江戸富くじゆかりの『椙森神社』など、日本橋七福神を丸ごと回遊できます。『東京福めぐり』の取材をしながら、地域の七福神の福も重ねていきましょう」
「100円の江戸バスで七福神様を全社巡るなんて、なんてスマートでお得なのかしら! 新しい『東京福めぐり』の可能性がどこまでも広がっていくわね、佐久間君!」
夕陽が日本橋川を黄金色に染める頃、七福神めぐりを終えた二人は再び『東京福めぐり』の本流へ。 福徳神社の「芽吹」の加護と日本橋七福神の福に見守られた二人の絆は、日本橋の街を巡るバスに揺られながら、どこまでも甘く、そして未来へ向かって芽吹いていくのだった。

